紡績会社のツナギ


ある大手紡績会社が、NY綿花取引所で定期を大きく売り建てしていて、
その売り玉を期先へ乗り換えては、その度ごとに損をしていた。

不思議に思った商品取引仲買店のW.H.ハバードは、
その理由を紡績会社の担当者に尋ねた。

「今の綿花相場は法外に高すぎるうえ、
先日、発生した生糸相場の暴落が気がかりである。
綿花相場も同じ様に暴落するかもしれない。

暴落した場合、当社が高い綿花で製造した綿製品の売約が取り消されるかもしれない。
その危険を保険ツナギするために定期を売り建てしている。

売約のキャンセルが発生するような事態になれば、
この保険ツナギは非常に効果的になる。

もし、暴落が起きなければ保険ツナギの売り玉は損になるが、それは製造原価の一部であると考えている。」
(岩本巌著「相場は生きている 相場実践編」より)



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