奇形左翼=菅直人民主党を包む政治資金の闇


『永久保存版』  2011.8.11

民主使った違法献金か   櫻井よしこ

 8月8日の衆議院予算委員会自民党古屋圭司議員が菅直人首相の献金問題を追及し、新事実を明らかにした。

 首相自身の資金管理団体草志会」が2007年から09年にかけて「政権交代をめざす市民の会」(以下めざす会)に6250万円を献金し、首相に民主党から1億2300万円が献金されていた事実はすでに報じられてきた。

 古屋氏の新しい指摘は、鷲尾英一郎小宮山泰子両議員らにまつわる疑問で、菅民主党の本質を抉(えぐ)り出す性質のものだ。鷲尾、小宮山両氏は07年から09年にかけて、めざす会及び同会と事実上一体の市民の党(代表・酒井剛氏)に、776万円と960万円を献金したことが明らかになっているが、その他に05年12月に各々2500万円を市民の党献金していたというのだ。これら大口献金の原資になったと思われる資金の流れが官報の記載から見えてくる。

 両氏の政治資金団体、「わしお英一郎東京応援団」と「小宮山泰子東京応援団」の双方に市民の党系の市議17名が、申し合わせたように個人献金の上限である150万円を寄付しているのだ。その合計金額はほぼそのまま、2500万円ずつ、鷲尾、小宮山両氏から市民の党献金されている。

 鷲尾氏らに献金した17名の市議の中に井上さくら氏の名前がある。彼女は02年5月29日、横浜市議会本会議場で国旗を引き下ろすべく職員ともみ合い、市議会を除名された市民の党の市議だった。

 献金した市議17名は鷲尾、小宮山両氏の献金の他にも、めざす会や市民の党に大口献金を行っている。鷲尾氏らへの献金もほぼそのまま市民の党に渡っていることから、一連の献金は最終的に市民の党に資金を集めるための工作で、一人150万円の制限を超える違法行為である可能性がある。

 鷲尾氏は一連の献金に自らは関与していないと強調、同件は市民の党による迂回(うかい)献金だとの見方を示した。

 首相が巨額の献金を行い、民主党そのものを違法な迂回献金の抜け道に使っている可能性のある市民の党は、周知のように今年4月、三鷹市議会議員選挙に森大志氏を公認候補として擁立した。酒井氏は10年程前に北朝鮮よど号の人間や娘たちと会い、大志氏との繋(つな)がりは氏の姉と会ったことから始まったと、「産経新聞」に語っている。

 よど号犯や、大志氏をはじめとするその子供たちの北朝鮮での位置づけを明らかにしたのが八尾恵氏である。彼女はよど号犯の一人、柴田泰弘と結婚、1983年、有本恵子さんをコペンハーゲン経由で北朝鮮に拉致した犯人の一人だ。

 八尾氏はその後、『謝罪します』(文芸春秋)を出版し、自身の体験とともに、よど号犯の子供たちの教育についても詳述した。

 よど号犯たちは特権階層として北朝鮮で生活しており、彼らの子供たちはよど号犯のリーダーで大志氏の父親、田宮高麿が校長を務める寺子屋式の「日本革命村小学校」で教育されたという。

 そこでは、子供たちに「日本に革命を起こす革命家」となるべく、「金日成金正日に忠誠心を持」ち、「戦士となるように教育」される。「対敵教育(敵と闘うための教育)」では、「日本の権力機関に嘘を言うことは許される」とも教えられるそうだ。酒井氏は革命のために選挙をやっているとも語っている。大志氏を公認候補とした意図もそこにあるのかと疑われても仕方がないだろう。

 酒井氏と首相の関係は初当選以来、少なくとも31年にわたる。首相は酒井氏との関係を問われ「相当の期間お会いをしておりません」と答えたが、古屋氏は、「(酒井氏)本人は、昨年、菅総理財務大臣当時、消費税問題で熱く議論したと言ってい」ると指摘した。

 首相と市民の党の関係は国民の目には異常かつ疑わしく映る。
首相の突出した献金は何故か。酒井氏や市民の党が掲げる革命や価値観に共鳴しているからなのか。こうした問いに、首相は真摯(しんし)に答えなければならない。

 民主党が政党資金の8割強を政党助成金に頼る公金政党であることを思えば、右の問いには、とりわけ真剣に答える責任がある。

民主党の資金はほぼすべて国民の税金なのだ。その使い道について国民が説明を求めるのは当然だ。

 疑問を抱くのは市民の党への献金だけではない。民主党の組織対策費は一体どうなっているのか。

組織対策費とは、それを受け取る議員の領収書さえあれば使途を説明する必要もなく、さらに政治資金であるために、受け取った議員は税務申告する必要もないというもので、使途不明金の温床として強い批判を浴びてきた。

この問題を追及してきた松田賢弥氏の指摘では、組織対策費の名目で少なくとも約37億円が使途不明のままだ。

 巨額の組織対策費問題は、小沢一郎氏の責任だと、民主党は言う。

だが、10年6月に党財務委員長となった小宮山洋子氏は調査に入ったものの、実態はいまも公表していない。

岡田克也幹事長は10年9月22日、「さかのぼって問題にするのは行き過ぎではないか」と調査に反対さえした。

日米の核持ち込みの密約を執拗(しつよう)に調査した岡田氏が自党の汚点には蓋をしたのだ。

 その全貌が判明すれば「党がぶっ壊れる」(佐藤泰介元財務委員長)と言われる組織対策費について、菅首相以下、クリーンさを標榜(ひょうぼう)してきた民主党の面々は口を拭い続けるのである。

菅首相を包む政治資金の闇は、まさに民主党を深く広く蝕(むしば)む闇である。


○ 菅直人の不適切献金 喚問で「北朝鮮との闇」解明を 2011.8.10産経新聞社説


 菅直人首相の資金管理団体北朝鮮拉致事件容疑者と関係の深い政治団体に巨額の政治献金をしていた問題で、自民党側はこの団体の母体にあたる「市民の党」の酒井剛代表の証人喚問を求めた。真相解明のために、国会は早急に喚問を実現させるべきだ。

 菅首相側から政治団体に渡った献金額は平成19年から21年までの3年間で6250万円に上る。19年には、限度額上限の5000万円が献金された。

 19年は参院選統一地方選が重なった年だ。先の衆院予算委員会で、自民党古屋圭司議員は「選挙支援だったのではないか」と菅首相を追及した。また、この年の市民の党の人件費が際立って多いことから、公職選挙法221条で禁止されている選挙運動者への金銭供与の疑いも指摘した。

 これに対し、首相は「連携・支援のため」とあいまいな答弁を繰り返した。酒井代表との関係についても、首相は「会って話したことがある」と述べるにとどめ、具体的な説明を避けた。

 国会で酒井代表から、菅首相との関係や献金目的、使途などを詳しく聴く必要がある。19年の参院選などで、当時の民主党代表代行の菅氏からどんな指示があったかも重要なポイントだ。

 市民の党の酒井代表は10年ほど前、北朝鮮を訪れ、よど号ハイジャック事件の犯人らと接触したことが明らかになっている。この事件は昭和45年、赤軍派日航機を乗っ取り、「日本革命」のため北朝鮮へ渡った事件である。

 その市民の党の“機関紙”に菅首相は約30年前から投稿したり、インタビューに応じたりしてきた。市民の党菅首相が浅からぬ関係にあったことは確かだ。

 また、市民の党など関連3団体に菅首相鳩山由紀夫前首相をはじめ、民主党の国会議員や地方議員から2億円を超える献金が行われている。民主党からの直接献金を隠すための迂(う)回(かい)献金だった疑いが強い。このうち菅首相側からの6250万円の原資の多くは国民の税金である政党交付金だ。

 菅首相は、在日韓国人から104万円の違法献金を受けた問題でも、返金時の領収書の国会提出を拒み続けている。

 政権末期とはいえ、菅首相は曲がりなりにも国の指導者として一連の献金問題について、まっとうに説明責任を果たすべきだ。



  相場戦略研究所 http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1289/