罫線の実践的活用法


罫線の実践的活用法 (林輝太郎先生の罫線論)

◎罫線の実践的活用法
 罫線を描くのは、値動きの習性と 周期を見るためである。

○グラフ
 日足は大きいグラフ用紙に陰陽足でも折線グラフでもよいから、
長年月*が一望できるようにし、いつも見なれていくべきであろう。
*(せめて2年分。全紙のグラフ用紙なら、タテ1メートル、ヨコ70センチだから2枚分ぐらい。)(ツナギ売買の実践p237)

 グラフは見るものだから、大きなB1の用紙にきれいに、見やすく描く。
壁に貼っていつも眺めたほうがいいが、普通の家庭では大きなグラフを貼る場所がないから巻いておく。

 グラフを見ると、上げ下げの周期、うねり、値動きのクセ、そういう特徴が一目瞭然で、自分で今度やるときに 「そろそろ底じゃないか。そろそろ天井じゃないか」という感じがよく解る。もちろん、いつも当たるわけではない。 また、「ここで上がるだろうが自分の出番ではない」そういうところもわかる。(そして、このときにどういう材料で下がったか、どういうニュースで上がったかは、もう忘れていてる)

 グラフの欠点は底で買って天井で売ろうとする自己暗示にかかることである。グラフはどういう「やり方」で、この波を泳ぐべきかを基に眺めるべきで、グラフを見て 天底で売買しよう としてはならない。

 ○罫線の見方
「天井になって底が確認され、底を打って天井が確認される」
といわれるのは投資家の迷いを的確に表現している。
 上げ相場は底を打ってから上がるが、前の安値が底だったと確認できるのは天井になってからで、それまでは「いま底を打って上げている」ことについては半信半疑で、いつ下がるか心配ばかりしており、天井になったとき、ようやく上げ相場だったとわかる。(下げ相場でも同じ)
 現在進行形の相場においては「底の想定」であり「天井の想定」であって、罫線によって「これからつける底を予想」し、「つけた底を確認」してゆくのである。

 値動きというものは、
  底→上げ→中段の保合い→上げ→中段の保合い→天井
  天井→下げ→中段の保合い→下げ→中段の保合い→下げ→底
であり、例外はない。

 上げ相場では  底、中段の揉みから上げに移る  なるべく早い時期
 下げ相場では  天井、中段の揉みから下げに移る  なるべく早い時期
にそれを罫線から判断したいが、それは不可能。

だから、
(1)値動きの種類を
底  天井  揉み の3つだけに単純化し、

(2)天底の形は 天井は尖っている 底はゆるやか  と考え、

(3)期間 を考慮に入れて判断するのである。


(2)天井は尖っている 底はゆるやか については、
 天井では値動きが荒く期間も短い のに対して、
 底では動きが小さく期間も長い ということで、これを「底練り」といっている。(その底練りの期間は 3ヵ月またはその整数倍である。)

(3)期間については
『底の翌日は天井ではない 天井の翌日は底ではない』といわれるように、
底から天井、天井から底までは、必ずある期間を要する。
その期間がおぼろげながらでも推定できれば
ケイ線の見方に安定感を与えることができる。

相場用語で日柄といわれているのが、期間のことで、
日柄を食った、というのは「そろそろ上げの期間の終了」を指している。

 その「期間」は、「3月またがり60日」で ピッタリ60日ではないし、3ヵ月目の当日のことでもなく、約60日 約3ヵ月であり、3ヵ月の整数倍になることもあるのだが、
実践的には、
 底をついて上がり、3ヵ月目くらいになったら注意して、一服して保合いになるか、天井で下落するか、一服後に再上昇するか見極める のだ。

 ケイ線を描く上での基本的事項と実践的な結論
(下げ相場のときは下記の「上げ」を「下げ」に、「天井」を「底」に言い替える)

・グラフは大きな用紙に見やすく描く
・経過月数がわかるように月替わりにタテ線を薄く描いておく
・上げの場合は3ヵ月ごとに注意して上げ止まるかどうかを見る
・上げ止まったときにそれが保合い(揉み)になるか天井になるかに注意

実践的結論としては  線が「混み合った」ときに注意 。


◎罫線の概論
 相場の分析はテクニカルズとファンダメンタルズに分けることができる。
そのテクニカルズとは、
  価格の動き   内部要因の変化 の情報分析のことをいう。

 狭義のテクニカルズは、価格の動きは図形化して、罫線にあらわし、
そのケイ線を分析することによって将来の方向を予測するものと言える。

 テクニシャン(テクニカル主義者)が、労を惜しまずグラフを描くのは、
値動きの習性、周期を見るためである。

 ・値動きは人間の心理の反映であるから、科学的分析に耐え得るものである。
 ・現在までの値動きを図形化したグラフは、正確な記録である。

将来上がるだろう、下がるだろうという予測の当る確率は2分の1になるはずであるが、投資家の予測は欲のため、2分の1をはるかに下回り、ほとんどゼロに近い。当たるのはまぐれにすぎない。
過去の値動きを土台にして将来を予測するケイ線分析によって、確率を2分の1にまで引き上げることができる。

 ○テクニカル分析の3原則
 ・市場の動きはすべてを織り込んでいる
 ・価格の動きはトレンドを形成する
 ・歴史は繰り返す

・市場の動きはすべてを織り込む
 いかなる理由にせよ、価格の上昇は供給を上回る需要と強気のファンダメンタルを示す。 つまるところ、テクニシャンは間接的にファンダメンタルを研究しているのである。
 また値動きは市場の強気または弱気の心理を反映しているのである。トレンドの初期段階や重要な転換点においては、何ゆえ市場がある方向に動くのかわからない
(が、グラフは確実にそれを示している)。

・価格の動きはトレンドを形成する
 運動中のトレンドは反転するより継続する可能性のほうが高い
(だから、値動きは反転するまではいままでの動きを続ける)。

・歴史は繰り返す
 テクニカル分析や市場の動きの研究は、相当部分人間心理の研究と通じている。
 価格変動はチャート上に現れる一定の絵が表すパターンがそうである。
 それは人間心理に基づくものであるし、人間の心理は変わらないからである。将来は過去の繰り返しにすぎないということである。
(背景になる経済情勢は時代によって大きく変わるが、人間の心理は変わらないのだから値の推移は変わらない)

 電話のなかった江戸時代の米相場でも、信用取引がなかった頃のウォール街の株の動きも、コンピュータのなかった明治から戦前の動きも、背景の経済事情はまったく異なるのに、値の動きは今とまったく同じなのである。
これが、我々がテクニカル分析を重視する、罫線の勉強をする理由なのである。(うねり取り入門新版p154)

○グラフの必要条件
 基礎的なグラフの定義
 グラフというものは、互いに関連する2つ(2つ以上のこともあるが)の量の関係を表す図形であるから、相場においては、
   タテの目盛は値段
   ヨコの目盛は時間 なのである。
 1次元のグラフは上記の条件を満たしていないので欠陥グラフである。なぜなら、
   相場とは日柄なり
といわれる日柄を無視しては、どだい分析も予測もできないし、売買を行うことは不可能だからだ。

○三手五手の上げ下げが重なって「うねり」を作り、「うねり」が連続して大きな波動を形成する。その各々にはある一定の日柄がある。底の翌日は天井ではない。(財産作りの株式投資p235)

○保合の中での分割買いは陰線引けの翌日

○売買と結びつく実用性
罫線を描くことで、ごく自然に、ここで買ってここで売ればよいとか、自分ならここで買うとか、次第に売買と結びつけるようになってくる。
 それも「自分なら」というように、自分にできるところ、という自分を主体にするようになってくる。これは、ケイ線を見ないで予測をしたのとは全く性質の違うものなのだ。

ケイ線分析は重要
 過去の値動きを土台にして将来を予測するのがケイ線分析である。相場の世界は、激烈な100万円、1,000万円すぐ損してしまう恐ろしい金取り競争の社会だからこそ、基礎とテクニカル分析が大切なのだ。

 売買上達の基礎固めは、 場帖 と 日足グラフ のみを用いる

慣れ
多くのグラフを描くと次第に慣れてくる。
「次はこうなるだろうな」という“感じ”がおぼろげながらわかってくる。
この“感じ”が大切で、それによって玉を建て、成否を賭けることになるのである。
異常の発見が大切 
多くのグラフを描くと「慣れからくる異和感」から不自然さを感じるようになる。(財産づくりの株式投資p146)

グラフを描いてみてわかることは、
 ・天井は値動きが荒い (形が とんがっている)
 ・底の値動きはゆるやか (形が なだらか)
 ・値動きには3ヵ月またはその整数倍(6ヵ月、9ヵ月、1年)の周期が見られる。

☆グラフの欠点
グラフでは上げ下げの傾向よりも、天井や底が目立つので、底で買って、天井で売りたいと思う。本当は自分なりに取れるところを取ればいいのだが、次第に、自己暗示にかかり、「底で買い、天井で売る」という自己の能力を無視した理想を追いかけようになる。
(株式上達セミナー新版p199)

○成功者の共通点
成功者のすべてに共通するものは、
「グラフを大きなグラフ用紙に手書きで描いている」
ということである。
(株式成功実践論新版p282)

☆値動きに慣れるには、ごく普通のグラフをたくさん描くことで、それが成功の第一歩、基礎になるのである。
ひまさえあればグラフを描いていればよい。描いているうちに「感じ」がわかってくるし、「変動感覚が次第に生まれてくる」のである。
(株式成功実践論新版p231)



  相場戦略研究所 http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1289/