殺すか、殺されるか


○殺すか、殺されるか
 剣術には、敵を倒すという目的は同じでも、多くの流派があり、考え方や方法が違うのは、「殺すか、殺されるか」という厳しい局面においては、ごく僅かの差異で勝負が決まるからである。
 相場の「カネを取るか取られるか」という厳しい局面においても、まったく同じである。
 だから売買において、いちばんいけないのは「曖昧な考え方」、「はっきりしない方法」、「のろい決断」で、少しの油断が命取りになる。(株式成功の基礎P122)

 生死を賭ける剣術や相場においては、血みどろな実戦の経験によって学び、覚え、見につける順序と方法が決められている。
 (財産作りの株式投資p208)

『兵法家伝書』
 さまざまな習練を極限までおこなえば、手足や身が自然に動き、心はなにも考えないでいられるものである。
 心は習得した技に従おうと思わないのに、身の動きは正確に技をあらわす。
敵に対するどのような対応も、自由に、とらわれない境地でおこなえる。
いかなる天魔外道も、こちらの内心を読むことはできない。

 すべての物事は、完全に体得すれば意識せずにおこなえるようになり、
それが道の極意というものである。 (柳生宗矩

○フォームというもの
 プロは一生を通じて専門の仕事でメシが食えなくてはならない。
だから、プロは自分なりの フォーム を持つことが最重要なのだ。

 勝負事は偶然で勝ち越せるものではない。
一生を通算して勝ち越すためには、全勝を狙うのではなく、持続を軸とした
「これを守っていれば勝ち越せる」という方法を修練によって掴むんだ。
それがフォーム というものだ。
 言っとくけど、フォームに既製品はない。手縫いで、自分で作るんだよ。(色川武大「うらおもて人生録」)

☆フォーム2
 売買は、ある期間の儲けが通常より増大することがある。
それは周囲の好条件に恵まれ自分の型(フォーム)をスムーズに実行できた時、発生する。
(うねり取り入門p283)

☆フォーム3
 すべての物事には フォーム がある。
さまざまな分野で、“結果を残す人”は自分の得意なフォームを持っている。
 フォームがあるから再現が可能。再現性があるから結果を残すことができる。

 相場においても、フォームが決まっている人は、その時々のブレがあっても、最終的には利益を手にすることができる。
 逆に、フォームが決まっていない人は、一時的に儲けても再現性がないので、利益を吐き出してしまうことが多い。

 スポーツでは“生涯現役”は難しいが、相場においては、確実な利益を積み重ねるフォームを身につければ“生涯現役”も可能である。

○突きん棒漁師
若い人で真似ごとのようにして覚えようとする者もおるが、
モリを打つことを覚えるには時間がいる。
水の屈折でサワラが実際よりも浮いて見える。
だから、感覚を掴まないと、なかなか突けない。
最初のうちはほとんどサワラより上にいってしまう。
腕を上げるには場数を踏むしかない。
一本目を仕留めるまでの道のりが遠い。

○ジャンプの岡部選手
時速90キロで助走し、数センチの狂いもなく踏み切るジャンプでは、
完璧を求めず、常に70%の結果を出すという意識で飛んでいる。
完璧なジャンプをしようと意気込むと、精密な動作は一気に乱れる。

我慢することが大事で、できることだけをコツコツと積み上げる。
いい滑りが見つかったら、その感覚を手放さずに、自分のジャンプに練り上げる。

○血みどろのワッペン 
 追い証のかかるような立ち場に立ったら、
見切り千両で苦しい玉を切るのが、市場に生き残る道である。

 日足線上昇角度75度から、85度~90度に鋭角化すればS高を呼び、
ギャップをあけ、出来高増大となれば、その反動の下げも壮烈になるが、
暴落が来た時は、あとの祭りで、売り玉は、みんな死んでいる。

さもあらばあれ、
材料聞くより日柄読め。人の心は自分の心。踏むまで高い。

 そしてこれまでの経験からいうと、ヒリヒリ組が最高潮に達して、一人死に、二人死に、ほとんどの人が死ぬと、それを待っていたかのように相場は崩れてくる。
だいたい自分の考えていることは、その他多くの人の考えていることと一緒である。

 九死に一生を得て帰還できる人は余程、資力・気力のある人で、
死にそうな思いの時の血みどろのワッペンを幾つも身につけている。

良寛さんは死ぬ時は死ぬがよか候と言うけれど(鏑木繁)

○愚に徹すれば愚に非ず 
 相場必勝の行き着く奥義は『底を打ったものは買うだけ』。

老子のいう、愚に徹すれば愚に非ず。

 人間は、上手に世の中を泳ごうとする。
賢く生きたつもりが遠回りだったり。
相場仙境の達人の域なら材料聞くより日柄読め。
知る者は言わず。言うものは知らず。(鏑木繁)

○引かされ玉を温める 
 まいまいや菖蒲に浅き水車尻 蛇笏。

 商品相場の投機家というものは、
利の乗っている玉を持っている人は、ほんの僅かで、
たいがいの人は引かされ玉(損勘定の玉)を温めているものである。
それは、利の乗った玉はすぐに利食いしてしまう。
損勘定の玉は、追い証を積んでも頑張るという宿命下にあるから当然であろう。

格言に〔見切り千両、利は伸ばせ〕とあるが、死ぬまでその境に達せず、
私の人生スリルを求めただけ。どれほどお金を相場に投入したか。
(鏑木繁)

○投資家の失敗に例外はない
 株式投資家の失敗は例外なく次のような筋道を辿ります。
はじめは
非常に慎重な売買を行なう
確実な利益を積み重ねる
或る年には好成績をあげる
が、
次第に慎重さを失っていき、
最後に
いままでの成果も元金も失う
のです。
 それを長年月の間に何回も見てきました。
その「失敗するとき」には、どんな意見も聞き入れられず、
また、失敗してからでも「どうしてあのとき、
もっと強く言ってくれなかったのか」と逆にうらまれるのです。

火事や交通事故のように、そうなってはじめてわかる、
しかし、手おくれ、なのです。( 林 輝太郎 )

○ネット売買の欠点
 売買回数が多くなる
 目先を追うようになる
 刹那的な売買をしてしまう
そして次第に投資家自身をダメにしていく( 林 輝太郎 )



  相場戦略研究所 http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1289/