波動の中心線


 商品は生産コストに基づく社会的制約があるから、値ごろで売買できるという商品相場特有のやりやすさがある。
 株のプロに小豆相場を説明し、グラフを見せると、きまって次のように言う。「高値は2万円、安値は1万円か。では、平均を取ると1万3000円くらいかな。ならば、1万3000円以上を売り上がり、以下を買い下がればよいことになる。」(商品相場必勝ノートp69)

 この統計的平均値(過去三年間の加重平均)を基に売買している「連戦戦勝の人」のやり方は、値を区切って行う「区分平均買い下がり」で
 波動の中心線を重視し、波動の中心線から下を買い、上を売るという徹底した買い下がり、売り上がりで、天底よりも、買い場、売り場という「出動」の玉の有利性から考えるやり方である。(商品相場必勝ノートp93)

 この一種のうねり取りは一見、合理的・魅力的でやってみたい誘惑に駆られるが、少々危険で精神的負担が大きいなやり方である。なぜなら、社会的制約がある商品相場の値動きは平時のスタティックな時だけであり、かなりダイナミックになる時期もあるからだ。
買占めのときの小豆や、原油暴騰時のコーン・大豆を波動の中心線から上を売り上がっていったら、破産する。
 また、商品相場には味方になるときもあれば敵になることもある限月という厄介なものがあり、慣れるまで熟練を要する。
 ついでにいえば、片張りのうねり取りはスタティックな状況下のみで有効な売買法なのである。

 こうした観点から見ると限月のない株のサヤ取りにおいて『波動の中心線を重視』するやり方を実行する方が小豆相場の片張りで行うより はるかに易しく安全である。

 株の収斂性のある銘柄同士を選択し、サヤの変動の『波動の中心線』を重視して、サヤの買い下がり、売り上がりを行うのである。
 収斂性がある銘柄を組み合せれば、値動きのリズムだけが増幅され、うねりの幅は減衰する。
 つまり、銘柄単独の大きなうねりや鋭い騰落は消滅するため、リスクが減り、大いなる安心感をもって『サヤの波動の中心線』を重視した買い下がり、売り上がりが行える。
それは『サヤのうねり取り』といえる売買で、大きな損を招くことなく確実な利益を積み重ねることができるのである。

 片張りの“うねり取り”はスタティックな状況でしか成リ立たないが、“うねり取り”の概念、方法論は、株の収斂性のある銘柄同士のサヤ取りにおいて生きるものといえよう。



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