転機となる書


書評「タートル流投資の魔術」

「タートル流投資の魔術」は相場の新しい教科書として私の本棚に収まった。
林輝太郎先生や立花さんと同様の教えがやや理論的に記述されていて、自分の頭の中が整理される感じがした。
やはり、大きな相場を張った成功者がたどり着く結論は同じである。

著者のカーティス・フェイスも前半部分に時間がかかったと書いているが、本書は前半が素晴らしい。
相場が如何に心理的要素が強いものであるかを解き明かし、優位性を持って相場を張ることが大切であると主張している。
後半はシステムの検証について多くのページを割いているので、相場技術論者にとっては少々退屈ではあった。

カーティス・フェイスは相場の基本的考え方が正しく、しっかりしていて、しかもそれを文章にして読者に上手に伝えている。相当に頭が切れる秀才。しかもパソコン黎明期に相場のシステムテストプログラマーをアルバイトにしていたという経歴の持ち主で、パソコン世代の新しい相場師である。

後半の自分の人生を振り返る部分、「億万長者から、離婚した奥さんに家を取られて、持株が暴落し、一文無しに転落して職を探した経験から、貧乏な人間の気持ちがわかるようになった」は少々泣かせる。
この辺のウェット感は、遠藤四郎さんの『株でゼロから30億円稼いだ私の投資法』の後半に共通するものがある。

脱アマ相場師列伝(旧版)の第三話ボックス売買法の主人公がニコラス・ダーバスの「200万ドル儲けた」を読んで感激するというくだりがあるが、同様に「タートル流投資の魔術」は自分にとって、転機となる書になるかもしれない。



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