「人の砂漠」

戦後の相場師で100億円儲けた板崎喜内人さんの話が、ノンフィクションになっていました。
沢木耕太郎の「人の砂漠」(新潮文庫)¥740

桑名筋と呼ばれた板崎喜内人さんは鏑木さんの本にしばしば登場しますし、
林輝太郎先生の「脱アマ相場必勝法」にも、毛糸で30億円儲けた男として紹介されています。

私は板崎さん、好きなんです。言動が普通ではありません。
週刊朝日に毛糸で30億円儲けたと書かれた時のセリフが

「人様のポケットに手を入れて取ったカネではない。堂々と自分の売買で儲けたのだ。」
「一万円札でケツをふくこともならず、むなしいものです。」
「私はお金が欲しくて相場をやっているのではない。相場と戦って勝つ快感が人生の喜びである。」

カッコイイじゃありませんか。

鏑木さんの本によりますと最後は機関店に足を出したとありましたので、晩年はめぐまれなかったと思っておりましたら、 「人の砂漠」の書評に

「相場師はたいてい最後は不幸で終わるが、板崎の場合は相場師を途中で降りてしまったため、悲劇的には終わらなかった。」とあります。これは買って読まなくちゃいけません。

「素人と玄人の差なんて大したことない。違うとすれば、その一度の当りでどこまで利が乗ったときに耐えられるかということですな。
百円で利喰うか、千円まで待てるか。それが人間の器量なんですわ」板崎喜内人
(人の砂漠-鼠たちの祭より)