相場師 引退

 かの大投機師 紀伊国屋文左衛門は50歳で引退している。
戦前の錚々たる相場師達も50歳前後で相場から足を洗っている。

 成功者の福沢桃介は40歳、望月軍四郎は44歳で引退、田中平八は51歳で死去。根津嘉一郎の人生の後場は実業家であった。
太田収は48歳で自殺、渋沢喜作は51歳、薮田忠次郎は48歳で破産、
鈴木隆先生も52歳で敗退した。

「投機は一生続けるものではない」(高橋彦次郎)
40後半から50前半は相場師の曲がり角なのである。

 岡部寛之氏は、『大儲けの極意』に、こう書いている。
 「定石を体得し、実践で鍛えられた相場師が、なぜ敗北したのか。
これは5、60歳を越しても、なお相場の世界に足を突っ込んでいたからだ。
老いたアルピニストが、いつまでも若い者と同じように山に登り続ければ、いつかは遭難する。 
 相場もそうだ。
年をとれば判断力、決断力、自己制御力が鈍り、アクセルもブレーキも効かなくなる。このような状態で、壮年期と同じ姿勢で勝負に出れば敗北するのはむしろ当然のことだ。」

 だから、全損しても再起できるように資金を限定しなければならない。
☆小豆相場のプロ 立川さんの資金管
 商品会社に預けてある資金は3000万円。
売買は最高で30枚。資金の10分の1に過ぎない。
 利益金が増えて、預け金が3500万円になったら500万円引き出して、
それを生活費として、余った金は貯金する。
その貯金が20年間で7億円になったのである。(研究部会報99.9 p77)

☆相場に秘伝ありとすれば 己の脳力の低下を知り、資金を限定することである

 老相場師の最大の敵は無能化した自分である。忍耐力を喪失し、刹那的売買になりがちである。
 歳を取って視力が落ちれば、それに比例して脳の働きも鈍っている。
増大する損失に耐えられずに大きな損をすれば、精神的に消耗、疲労し、何をやってもうまくいかなくなる。
何もせずに休んで、市場と自分が冷静さを取り戻すのを待って動き出せばよいのだが、老化により、それができなくなっている。

相場というものは
 計画的な建玉以外は儲からない。
 体調と精神状態が良くなければ儲からない
 運が良く、ツキがなければ儲からない
 負けが続いているときに、損を取り戻そうとすれば致命傷になる
ものである。




  相場戦略研究所 http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1289/