リバモアの ためし玉



ジェシー・リバモアは優れた技術を持つオーソドックスな投機家であった。
バモアの売買技術、成功の秘密とはなにか。

まず ためし玉の活用。
バモアは相場を張る時、ためし玉によって 「いける」 と判断したら本玉をいれていた。
「相場の流れが変った という自分の判断を確認するために、ためし玉で打診してみる。
 「売る」にしろ「買う」にしろ、僅かな賭金からスタートし、自分の判断が正しいかどうか試すのだ。
最終的な取引規模を想定しながら、ためし玉で「探り」を入れてみる。
ためし玉で結果を見て、利益になれば本格的な売買へと進んでいくのである。」

次に 「バケットショップ」の10%ルールによる「損小 利大」。
バモアは20才の時「バケットショップ」で株の売買をして当時の金で1000ドルも儲けた。「バケットショップ」とは、「株の呑み屋」のことである。

バケットショップ」では
客は株数を指定し株を注文し、店に証拠金として購入価格の10%を払う。
店は呑み屋だから実際に株式の注文執行は行わない。

株が10%値下がりすれば手仕舞いになり、客の証拠金はすべて店のものになる。

逆に値上がりして客が勝てば、時価で払い戻しが行われる。

バモアは「バケットショップ」で勝ち続け大儲けした後、仕事を辞めウオール街に乗り込むが、逆に破産してしまう。

理由は「バケットショップ」とウオール街のルールの違いである。

バケットショップ」での売買ルールは損は購入価格の10%に限定されていたが、ウオール街の通常取引では自ら損切りしないと損が無限に拡大してしまう。
大相場師 リバモアも当初は損切りが、できなかったのである。

バケットショップ」での売買ルールは、ある種のオプション取引のため、リバモアは自ら損切りをする必要がなかった。このルールは、相場度胸抜群の若きリバモアにとって非常に好都合だった。
結果として「損小 利大」が達成されたのである。

相場で資産を増加させるには「損小 利大」の達成がキーポイントになる。
もし、「バケットショップ」的システムを持っている証券会社があれば「損小利大」が自動的に達成される可能性があるから、投資家としては都合が良い。
しかし現実にはそのような証券会社は存在しないので、リバモア的に相場で成功したいなら、「ためし玉を活用」+「バケットショップの10%ルール」売買システムを投資家自ら設計・実行すればよいことになる。

相場で資産を増加させていく「損小 利大」の観点から、ためし玉の損失は大きくない方がいい。
そうすると1回の負けは1万円ぐらいか。
30万円の株を買うとすれば300株て賭金は10万円であるから、ためし玉は300株で行えばよい。
ためし玉は大引で買値から10%逆行したら落とす。これは簡単である。

問題は当たりかどうかの判断と、それによる増し玉のタイミングとやり方である。
この増し玉は“順張りの乗せ”に該当し、非常に難しい。相場師にとって“順張りの乗せ”は難易度が高いからだ。
結局、修練によって、増し玉・乗せ をうまく実行し、ダメなら撤退できる、技術を身につけるしかない。
本玉を入れた跡、失敗すれば「やっぱり大損!」になってしまうからである。

当のリバモアも、その後3回も破産しているし、戦前の日本の株屋の売買ルールも値動きによって証拠金分が逆行すると、店が玉を勝手に切って客の負けになる、「バケットショップ」とほぼ同じルールだったが、成功者は非常に少なかったのである。

だから、本玉を入れた後も10%逆行で手仕舞いする。
そしてリバモアのように相場度胸がない我々は利が乗ったら、トレーリング・ストップを入れておく。

どんなやり方にせよ株の売買の難しさは、やはり同じで、「練習によって技術を身につけるしかない」という、いつもの結論にたどりついてしまうのである。



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